山手通りに面して、小さな観音像が祀られたドーム状屋根のきれいな祠(ほこら)があります。 この「たから第六天」は、中野長者伝説に登場する中野開拓者の鈴木九郎が成願寺を建立した際、土地の恵みと人々の幸福を願って奉安しました。約600年の間、周辺住民の人々に親しまれてきましたが、山手通りの拡張に伴い、場所をずらし、平成8年に現在の場所に移りました。「たから第六天」は成願寺の境外堂ですので、その山号「多宝山」にちなんでいます。
第六天は欲望の世界に生きる魔王です。しかし、大きな力をもつ仏法の守護尊として、人々に信仰されてきました。仏教では、神々も迷いと欲望の世界に生きる者です。その天界に「六欲天」という六つの段階があり ます。最上位が「第六天」で、下天に化現する楽を自在に受けることができるということから「他化自在天(たけじざいてん)」とも呼ばれます。ここ「たから第六天」には、観音菩薩像が祀られています。観音菩薩は“慈悲”に溢れた菩薩です。観音様の功徳で、周辺の人々を救済するために「たから第六天」が建てられたものと思われます。
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